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2007年2月17日 (土)

書籍紹介:中国茶の文化史

今日はまじめな書籍紹介

 布目潮ふう著 (ふうはサンズイに風)
 「中国茶の文化史 ー 固形茶から葉茶へ」
 研文出版、2001、ISBN4-87636-198-3

 日頃何気なく飲んでいるお茶。我々日本人はどのようにしてこのお茶を手に入れたのであろうか?日本の茶について考えるとき、中国における茶の変遷に目を向けないわけにはいかない。過去、日中交流の様々な節目で、日本文化は中国の影響を強く受けており、それは茶についても同様だからである。
 古今、日中の茶の歴史については、多くの研究が行われ、それについての書籍も多い。いくつかのものは、現地に赴いて茶樹、製茶の方法、茶の味などを調査し、現地の古老の話を聞き取り、何処と何処のお茶が似ていると考察しては仮想線を引くのである。ただし、茶樹の前に何日立っても茶樹は歴史を語らないし、茶碗の茶を何倍飲もうと茶は歴史を語らない。であるから、いくつかの書物は、何の傍証も示されない単なる紀行文に主観を加味したものにとどまっているのである。
 ところが、布目氏の茶文化論は、漢代から清代に至る多くの文献に厳密な傍証を求めている。もちろん茶経は製茶の技術的な見地から詳細に考察されているし、その後王朝・民族は移っても、その時々の茶に関する記録をあらゆる見地から考証し、一つの歴史として解説がなされる。これは、単に氏がお茶に詳しいというだけではなく、元々中国史の大家であるからこそ、その時代背景と結び付けてきわめて説得力のある文化論となっているのである。そして、遣唐使、栄西禅師といったかかわりにより、中国の茶技術・茶文化が日本にもたらされる。それは、やがて日本独自の「茶の湯」文化、さらに現在の蒸し製煎茶につながってゆくのである。
 私自身は製茶技術者であり、理系の人間である。この本はいわゆる文化論・歴史書であり、途中漢文も沢山登場するから、私のようなものにとってはきわめて苦手な分野である。それでも非常に共感を持って読み進めることができたのは、茶の栽培や製茶技術に関する極めて詳細かつ的確な記述・考察がなされているからである。著者は、本業の中国史はもちろんのこと、茶の生産技術についてもかなり造詣の深い先生であったことがよくわかるのである。

 本書を読んで、自分の茶に関する知識の浅さを痛感した次第である。

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